愛知県での産業廃棄物収集運搬業許可申請|必要書類・費用・期間・審査のポイント

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産業廃棄物収集運搬業とは

事業活動の過程で生じる廃棄物のうち、法律で定められたものを「産業廃棄物」と呼びます。これらを他人から委託を受けて運搬する場合は、廃棄物処理法第14条に基づく「産業廃棄物収集運搬業許可」が必要です。無許可での運搬は、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科されることもあるため、必ず許可を取得してから事業を行う必要があります。

産業廃棄物とは、建設現場のコンクリートがら、解体工事の木くず、製造業で発生する廃油・廃プラスチック類など多岐にわたります。これらを適正に処理場まで運ぶことは、環境保全と企業の社会的責任の両面から極めて重要です。

愛知県での申請区分と特徴

愛知県での申請は、「積替え保管を行わない」形で行うケースがほとんどです。(積替え保管ありでの申請も数は少ないですがもちろんあります)

これは、収集した廃棄物を一時的に保管せず、排出場所から直接処理施設まで運ぶ方式です。(直送と言います)

積替え保管を伴う場合は、施設の構造・管理基準などが申請にあたって書類や施設の準備などが大変になるのと許可取得までの期間も長くなることが多く、まずは積替え保管なしの許可取得を目指す事業者が大半となります。


また、許可は本社所在地ではなく、実際に運搬業務を行う都道府県ごとに申請が必要です。

具体的には廃棄物と積むところと降ろすところそれぞれの都道府県での許可が必要です。※通るだけのエリアでは許可は不要です。

必要書類(積替え保管なしの場合)

申請時に提出する書類は、個人事業主と法人で異なります。以下は愛知県で申請書類を除いて一般的に求められる添付書類の一覧です。

【個人事業主】の場合

・住民票(本籍地記載)
・所得税納税証明書(直近3年分)
・確定申告書類(貸借対照表・損益計算書含む)
・車検証の写し
・車両の写真(正面・側面)
・運搬容器の写真
・講習会修了証(原本)

【法人】の場合


・役員(監査役含む)の住民票(本籍地記載)
・納税証明書その1(直近3年分)
・決算書・法人税申告書(直近3年分)
・履歴事項全部証明書
・定款の写し
・車検証の写し
・車両・運搬容器の写真
・講習会修了証(原本)

講習会修了証は愛知県の場合、必ず原本の提示が必要です。他県ではコピーの提出が原則となっていますが、愛知県では厳格な取り扱いとなっています。

申請費用と期間の目安

申請には、行政書士への報酬のほか、県への申請手数料、場合によっては経営診断書作成費用などがかかります。

【費用の目安】
・行政書士費用:88,000円
・申請手数料(実費):新規81,000円/更新73,000円/変更71,000円
・経営診断書(必要な場合):55,000円前後
・その他実費(郵送費など):1,000〜2,000円

【申請から許可までの期間】
・愛知県:約2か月
・岐阜県:約2か月
・三重県:約2.5〜3か月

なお、3県同時申請を行う場合でも、経営診断書の作成費は1件分で済むケースが多いです。申請書の整合性が保たれていれば、審査も比較的スムーズに進みます。

経理的基礎と経営診断書の提出基準

愛知県では、財務の健全性を示す「経理的基礎」が重要な審査項目です。自己資本比率が10%以上、かつ経常利益が黒字であれば原則として認定されます。反対に、3年連続の赤字や債務超過の場合は、診断書の提出が必要になりますし場合によっては許可を得られないこともあります。

診断書は、中小企業診断士または公認会計士が、今後5年間の収支計画に基づき「健全な経営軌道に乗ることが見込まれる」と証明する書類です。財務諸表に加え、納税実績や資産調書も判断材料になります。

【診断書が必要となる主なケース】

・自己資本比率が10%未満またはマイナス
・経常利益が連続してマイナス

・営業実績が3年未満の新設法人または個人事業主

行政書士に依頼するメリットとよくある不備

産業廃棄物収集運搬業許可申請は、単に書類を集めるだけではなく、法令に基づく要件を満たしているかを客観的に証明する必要があります。行政書士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。

【行政書士に依頼するメリット】
・各県ごとの最新様式・審査基準に沿った書類作成が可能
・経理的基礎や車両要件の事前チェックで不備を防げる
・窓口対応や補正手続きの代行
・他県同時申請の書類統一がスムーズ

【よくある不備・補正例】
・車両や容器の写真が不鮮明、飛散防止構造が確認できない
・納税証明書が直近3年分そろっていない
・必要な品目が漏れてしまっている
・財務諸表と申告書の金額不一致

こうした不備は、審査期間が長くなってしまい許可取得が遅くなってしまう原因になるばかりでなく、必要な品目が漏れてしまったりすると改めて費用をかけて変更許可申請をしなければならなくなったりもするため申請前にしっかりと確認することが重要となります。

まとめ

愛知県での産業廃棄物収集運搬業許可申請は、書類や要件が明確に整理されている一方で、細かなルールが多く専門性の高い手続きです。自己判断で進めると、補正対応や再申請で時間がかかることも少なくありません。

講習会修了証の原本提出、経理的基礎の確認、費用・期間の把握を事前に行い、準備を整えることが成功のポイントです。行政書士のサポートを受けることで、スムーズかつ確実に許可を取得できます。

許可取得後は、5年ごとの更新手続きや、車両変更時の変更許可申請も必要になります。許可を「取って終わり」ではなく、継続的な管理と更新を意識しておくと安心です。

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