専ら物とは?|産業廃棄物処理における法的な位置づけと注意点

産業廃棄物の取扱いに関する相談の中で、よく話題に上がるのが「専ら物(もっぱらぶつ)」という考え方です。

  • 専ら物とは何か
  • なぜ「許可がいらない」と言われるのか
  • どこで判断を誤りやすいのか

本記事では、事業者一般向けに、
専ら物の法的な位置づけと、実務上の注意点を行政書士が整理して解説します。

目次

専ら物とは

「専ら物」とは、
再生利用を目的として、専らその用途に供される産業廃棄物を指します。条文の定めとしては以下の通りです。

第14条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第14条の3の3まで、第15条の4の2、第15条の4の3第3項及び第15条の4の4第3項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあっては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

廃棄物処理法上、次の4種類が専ら物として整理されています。

  • 古紙
  • くず鉄(スクラップ)
  • 空きびん
  • 古繊維

重要なのは、専ら物であっても「産業廃棄物」であることに変わりはない

という点です。

専ら物は「許可が不要」とされる理由

専ら物については、
一定の条件を満たす場合に限り、

  • 産業廃棄物収集運搬業許可
  • マニフェストの交付

不要と整理されています。

これは、専ら物が再生利用を前提としており、廃棄物の処分リスクが低いと考えられているためです。

ただし、これは専ら物としての実態がある場合に限られる点に注意が必要です。

専ら物で問題になりやすいポイント

実務上のトラブルは、

「本当は専ら物に該当しない」ケース

で発生します。

① 他の廃棄物が混入している

  • くず鉄にコンクリート片やプラスチックが混入
  • 古紙に可燃ごみが混ざっている

このような状態では、
専ら物としての取扱いはできません。

② 再生利用の実態が確認できない

形式上は専ら物とされていても、

  • 再生事業者への直接搬入ではない
  • 実際の用途が不明確

といった場合、
行政から専ら物性を否定されることがあります。

③ 名称だけで判断してしまう

「スクラップ」「古紙」という名称だけで判断し、
中身や流通実態を確認していない場合、
後から指摘を受けるリスクがあります。

専ら物と他の区分との違い

区分専ら物一般的な産業廃棄物
法的位置づけ産業廃棄物産業廃棄物
許可・マニフェスト条件付きで不要原則必要
判断基準再生利用の実態処分目的

※判断は、呼び方ではなく実態に基づいて行われます。

事前に確認しておくべきチェックポイント

専ら物として扱う場合、
次の点は事前に確認しておくことが重要です。

  • 4品目(古紙・くず鉄等)に該当するか
  • 他の廃棄物が混入していないか
  • 再生利用の流れが明確か
  • 契約書・指示書等で内容が確認できるか

これらが曖昧なままでは、
後日の説明が困難になります。

行政書士による専ら物の整理・相談対応

専ら物は、
一見すると規制が緩やかに見える反面、
判断を誤ると法令違反に直結する分野です。

行政書士は、

  • 専ら物に該当するかの事前確認
  • 許可やマニフェストが必要となるケースの切り分け
  • 契約・運用方法の整理
  • 行政指導が入った場合の対応支援

などを通じて、
事業者の法令リスク整理をサポートします。

まとめ|専ら物は「実態確認」がすべて

  • 専ら物も産業廃棄物である
  • 条件を満たす場合に限り、規制が緩和されている
  • 名称ではなく、実態で判断される

専ら物の取扱いについて不安がある場合は、
問題が表面化する前に専門家へ相談することが重要です。

当事務所では、
産業廃棄物に関する法令整理・実務相談を行っています。

専ら物・有価物・産業廃棄物の違い

廃棄物に関する相談では、

  • これは専ら物なのか
  • 有価物として扱えるのか
  • 産業廃棄物として許可やマニフェストが必要なのか

といった区分判断で悩むケースが非常に多くあります。

本記事では、廃棄物処理法上の考え方をベースに
専ら物・有価物・産業廃棄物の違いを整理し、
実務で判断する際のポイントを解説します。

まず大前提となる考え方

廃棄物処理法では、
物の名称ではなく、

その物が不要になったものかどうか(客観的状況)

によって区分が判断されます。

つまり、

  • 「スクラップと呼んでいる」
  • 「売れることがある」

といった事情だけで、
有価物や専ら物になるわけではありません。

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは、
事業活動に伴って生じ、
廃棄物処理法で定められた20種類の廃棄物を指します。

特徴
  • 原則として処分目的
  • 収集運搬・処分には許可が必要
  • マニフェスト制度の対象

判断に迷う場合、
まずは産業廃棄物に該当するかどうかを起点に考えるのが基本です。

有価物とは

有価物とは、

客観的に見て、取引価値があり、不要物といえないもの

を指します。

判断のポイント

行政実務では、次のような要素を総合的に見て判断されます。

  • 継続的・安定的に売買されているか
  • 売却代金が運搬・保管コストを上回っているか
  • 品質や性状が一定しているか
  • 取引契約・実態が確認できるか

単発的に「お金になった」だけでは、
有価物と認められないケースも多くあります。

専ら物とは

専ら物とは、
産業廃棄物のうち、再生利用を目的として専ら供されるもので、
次の4品目に限定されています。

  1. 古紙
  2. くず鉄
  3. 空きびん
  4. 古繊維
ポイント
  • 専ら物も法的には産業廃棄物
  • 条件を満たす場合に限り、
    許可・マニフェストが不要とされている

「規制の対象外」ではない点に注意が必要です。

3つの区分の違いを整理

区分有価物専ら物産業廃棄物
法的位置づけ廃棄物に該当しない産業廃棄物産業廃棄物
対象範囲制限なし4品目のみ法定20種類
許可・マニフェスト不要条件付きで不要原則必要
判断基準取引価値・実態再生利用の実態処分目的

実務で問題になりやすい典型例

① 有価物として扱っていたが否定された

  • 売却額より運搬費の方が高い
  • 品質が不安定で受入先が限定的

この場合、
産業廃棄物と判断される可能性があります。

② 専ら物だと思っていたが要件を満たしていなかった

  • 混入物がある
  • 再生利用先が不明確

結果として、
無許可運搬等の指摘につながることがあります。

③ 区分の切替えを認識していなかった

同じ物であっても、

  • 時期
  • 市場価格
  • 排出状況

によって、
有価物から産業廃棄物へ切り替わることがあります。

判断に迷ったときの考え方

判断に迷う場合は、

  1. 本当に不要物か
  2. 客観的な取引価値があるか
  3. 再生利用の実態が説明できるか

この順で整理すると、
リスクの高い判断を避けやすくなります。

行政書士に相談する意義

専ら物・有価物・産業廃棄物の区分は、
事後的に問題視されることが多い分野です。

行政書士は、

  • 現状の取扱いがどの区分に該当するかの整理
  • 行政実務を踏まえたリスク評価
  • 契約書・運用方法の見直し

などを通じて、
事業者の法令リスク管理を支援します。

まとめ|名称ではなく実態で判断する

  • 有価物かどうかは「売れるか」だけでは決まらない
  • 専ら物は産業廃棄物の一類型
  • 判断基準は一貫して「実態」

区分判断に不安がある場合は、
問題が顕在化する前の確認が重要です。

当事務所では、
廃棄物処理法に関する実務相談を承っています。

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