産業廃棄物収集運搬業と一般貨物自動車運送事業の違い

運送業に関する相談の中で、

  • 産業廃棄物収集運搬業の許可があれば足りるのか
  • 一般貨物自動車運送事業の許可が必要なのか

といった質問は非常に多くあります。

一見似ている2つの制度ですが、
目的・根拠法令・求められる許可はまったく異なります。

本記事では、
産業廃棄物収集運搬業と一般貨物自動車運送事業の違いを整理し、
実務で注意すべきポイントを解説します。

目次

根拠法令の違い

まず、両者は根拠となる法律が異なります。

区分根拠法令
産業廃棄物収集運搬業廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)
一般貨物自動車運送事業貨物自動車運送事業法

廃棄物処理法の基本条文

廃棄物処理法第14条第1項では、次のように規定されています。

「第14条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第14条の3の3まで、第15条の4の2、第15条の4の3第3項及び第15条の4の4第3項において同じ。)の収集又は運搬をとして行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。

つまり、

  • 業として
  • 産業廃棄物を
  • 収集又は運搬する

場合には、原則として産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。

貨物自動車運送事業法の基本条文

一方、貨物自動車運送事業法第2条第2項では、
一般貨物自動車運送事業について次のように定義されています。

「この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第7項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。」

ここで重要なのは、
この法律は

  • 運送の安全
  • 事業の適正な運営

を目的としており、
運送する貨物の性質(産業廃棄物か否か)を直接規制するものではない、
という点です。

目的そのものが違うため、片方の許可があっても、もう一方を代替することはできません。

産業廃棄物収集運搬業とは

産業廃棄物収集運搬業とは、
事業活動に伴って生じた産業廃棄物を、処分場等まで運搬する事業です。

特徴
  • 廃棄物の「適正処理」が目的
  • 許可権者は都道府県(政令市等)
  • 許可品目・積替え保管の有無が重要
  • マニフェスト制度の対象

運ぶ物が「産業廃棄物」に該当するかどうかが、許可要否の分かれ目になります。

一般貨物自動車運送事業とは

一般貨物自動車運送事業とは、
他人の需要に応じ、有償で貨物を自動車により運送する事業です。

特徴
  • 運送そのものの安全・秩序確保が目的
  • 許可権者は国土交通省
  • 営業所・車庫・運行管理体制が重視される
  • 原則として運送する「物の性質」は問われない

ただし、
運ぶ物が産業廃棄物の場合は別の整理が必要になります。

両方の許可が必要になるケース

実務上、最も誤解が多いのが、
一般貨物と産業廃棄物収集運搬業の関係です。

なぜ両方必要になるのか

一般貨物自動車運送事業の許可は、あくまで「運送業としての許可」です。

一方で、廃棄物処理法第14条は、産業廃棄物を「業として」運搬する行為そのものを規制しています。そのため、

  • 他人の産業廃棄物を
  • 有償で運送する

という場合には、

  1. 有償運送を行う事業としての 一般貨物自動車運送事業の許可
  2. 産業廃棄物を運搬する行為に対する 産業廃棄物収集運搬業の許可

の双方が必要になります。

条文関係の整理

  • 有償で他人の貨物を運送する → 貨物自動車運送事業法の規制対象
  • 運送する物が産業廃棄物 → 廃棄物処理法の規制対象

この2つは重なって適用されるため、
どちらか一方の許可では足りません。

よくある誤解

  • 一般貨物の許可があれば産廃も運べる

    一般貨物の許可は、あくまで「運送業」としての許可です。

    産業廃棄物を運ぶには、別途、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
  • 無償運搬なら許可はいらない

    産業廃棄物収集運搬業では、有償・無償は関係ありません。

    事業として他人の産業廃棄物を運ぶ場合、原則として許可が必要です。
  • 元請の指示だから問題ない

    許可の有無は、実際に運搬する事業者ごとに判断されます。

    元請の指示があっても、無許可で運搬すれば責任を問われる可能性があります。

判断に迷いやすい典型例

  • 残土・汚泥・がれき類の運搬
  • スクラップや再生資源の運搬
  • 建設現場間の横持ち運搬

これらは、
運ぶ物の性質や取引形態によって、許可要否が変わりやすい分野です。

行政書士がサポートできること

行政書士は、

  • 運搬物が産業廃棄物に該当するかの整理
  • 必要な許可の切り分け
  • 産業廃棄物収集運搬業許可申請
  • 一般貨物自動車運送事業の許可・変更手続

などを通じて、運送事業者の法令遵守を支援します。

まとめ|「運ぶ物」と「事業形態」で判断する

  • 産業廃棄物収集運搬業と一般貨物は別制度
  • 運ぶ物が産業廃棄物かどうかが重要
  • 両方の許可が必要なケースは多い

判断に迷う場合は、事業開始前の整理が重要です。

当事務所では、産業廃棄物・運送事業に関する実務相談を承っています。

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